
織部ヒルズの住人たち – フルール•フルール/陶舎花*花/株式会社イサジ
うつわとパンで、食卓に“口福”を届ける
株式会社イサジ(フルール•フルール/陶舎花*花)
週末が近づくと、織部ヒルズの一角にふわりと広がる、香ばしい小麦の香り。どこか懐かしさを感じさせるレトロな煉瓦造りの建物に、車が次々と吸い込まれていきます。
その正体は、木曜から日曜の週4日だけオープンするパン屋「FLEURS FLEURS(フルール・フルール)」。店名の由来はフランス語で“花・花”。美味しいパンの香りとともに、心がほぐれるようなひとときを届けてくれます。
このパン屋さんを運営しているのが、実は陶磁器商社として1950年に創業した、株式会社イサジ。
食卓の“器”を長年届けてきた企業が、新たに“パン”という彩りを添える――
そんなイサジのストーリーを、伊佐次社長、そして陶磁器部門を支える有田さんにお伺いしました。

「運命のパン」との出会い
感動するほど美味しかったのです、と振り返る伊佐次社長。とあるホテルで食べたそのパンに心を奪われた伊佐次夫妻は、立ち上げから製造技術までノウハウを学び、数年をかけてパン屋を立ち上げます。
フルール・フルールでは、今や常時50種類ほどのパンを製造販売。季節、湿度、気温によって作り方を調整するなど、細部まで徹底的にこだわっています。製造スタッフはわずか3名ですが、その丁寧な仕事ぶりがパンの味にしっかりと表れています。
看板は小麦の旨味ともちもち食感が特徴の「土岐食パン」。その他、あんぱんやクリームパン、カレーパン、リボンのクロワッサンもファン多数。口コミで評判が広がり、県外からもわざわざ訪れる常連さまが増えています。

陶磁器商社としての誇り
とはいえ、イサジの原点は“器“にこそあり。イサジは、釉薬のかかった器に転写紙を貼って焼成する上絵付技法を使って食器を加工する会社でした。
社内には、かつて絵付けに使用されていた20メートル超のトンネル窯が現存しており、その存在は織部ヒルズ内でもかなり貴重なもの。かつての職人たちの手仕事の痕跡が今なお息づいています。
現在は主に、美濃焼を中心とした業務用・家庭用の食器を取り扱い、パン屋に併設された店内では、日常づかいしやすい器や、パンに合うプレート、マグカップなども並び、他産地の商品も一部取り扱っています。
特に、家庭向けにはデザイン性、業務用には耐久性や機能性を重視し、使い手の顔を思い浮かべながら商品を選定するといいます。
「つなげる」ことが、イサジの仕事
「私たち商社の役割は、使い手と作り手をつなぐことだと思っています」
そう話してくれたのは、陶磁器部門を担当する有田さん。
器を届けるだけでなく、お客様の声を生産者にフィードバックする。そこには、“作り手の想い”と“使い手の暮らし”の橋渡しをしたいという願いが込められています。
特に、毎年秋に開催される陶器市は、貴重な“リアルな声”を聞けるチャンス。
パンの味はもちろんのこと、
「この器、いつも使ってますよ」
「パン皿にちょうど良かったです!」
そんな声をいただくことが何よりうれしく、励みになるといいます。
器とパン。一見、異なるもののように見えて、どちらも“食卓”を彩る存在の2つによって、つないでいく。それが新しい株式会社イサジの姿です。

陶器市ではうつわの裏メニューに会える・・かも?
陶器市でも、イサジでは掘り出し物・廃盤品・サンプル品など、通常販売ではなかなか出せないレアな商品が登場予定。
店頭に並ぶのはその一部のみですが、トンネル窯の横に保管されている業務用の器なども実は隠されています。
「ちょっと聞いてみてもらえたら、可能な範囲で対応しますよ」と、実は魚釣りが趣味の有田さん。釣った魚を捌いては、うつわに盛り付けをするのが楽しみだといいます。
まるで“裏メニュー”のような楽しみ方も、陶器市ならではの醍醐味。時間をかけてじっくり器と向き合うことで、思いがけない出会いがあるかもしれません。
「うつわとパン」が繋ぐ、食卓の幸せ=口福(こうふく)
パンとうつわ。どちらも食卓を彩るために欠かせない存在です。でもそれは、ただの“商品”ではなく、人の手と心を通して届けられるもの。
株式会社イサジは、陶磁器商社としての伝統を守りながら、新しいかたちの“口福”を届け続けています。
秋の陶器市では、香ばしいパンの香りと、ぬくもりある器があなたを出迎えてくれるはずです。
フルール•フルール/陶舎花*花/株式会社イサジ
所在地:岐阜県土岐市泉北山町6-1(織部ヒルズ内)
営業日(パン):木〜日曜営業
Instagram:@fleursfleurs_bakery
オンラインショップ:陶舎花*花
https://www.rakuten.ne.jp/gold/hana2primitive/
Instagram:@primitive_hana2
※陶器市期間中の特別販売・イベントは公式SNSにて随時発信予定!