(株)ロロ

織部ヒルズの住人たち – Nature Ave./株式会社ロロ

“想い”をものづくりに込めて——ロロ発、美濃から世界へ

「創業当時は熱い情熱以外、何もなかったです」そう笑って話すのは、株式会社ロロの創業者である早川秀雄社長。

20代の頃に立ちあげた小さな企画会社は、オリジナル商品の開発、製造、販売を手広く行う商社となり、織部ヒルズでも一目置かれる存在となりました。

愛知県で家庭用品などを製造する家で生まれ育った早川社長は、卒業後、東京へ上京、アクリル樹脂を扱う製造会社に入社します。製造・営業・物流まで、あらゆる業務を3年間で徹底的に経験。「3年で9年分働いた」と振り返るほど、濃密な時間を過ごしたといいます。

入社当初から「3年だけ働く」と決めていた早川社長は、その約束通り退職。

「自分が生涯を通じて仕事をするのであれば、自然素材のものを相手にしたい」

その想いから起ち上げたのが、今の株式会社ロロでした。情熱ひとつから飛び込んだものづくりの世界で、走り続ける早川社長にお話しをお伺いしました。

Nature Ave./株式会社ロロ

「暮らしの先に、器がある」──ロロが描くものづくりの原点

ロロという社名は、自身の「ハウスウェアへの愛(Love)」から発想した造語です(ハウスウェア:家庭内で使用する日用品や雑貨)。

しかし後に、世界の言語の中に“ロロ”が、独自の文化と伝統を守り続ける少数民族を指す言葉として存在することを知り、他とは違う道を選んだ自身の姿と重なっているように感じ共感したといいます。

ゼロからのスタートだったため、「できることはすべてやる」が基本スタンス。大手花屋の花器や、手作り関連・住まいのアイテムを扱う総合小売業へのインテリア商品提案など、デザイナーとともに商品企画から製造・販売まで一貫して手がけてきました。

創業当時、アメリカやヨーロッパを市場調査のために定期的に訪問した早川社長。トータルライフスタイルの提案型へと変わりつつあった、現地の店舗や見本市を見て、日本にも間違いなく来ると感じ、欧米型のスタイルをいち早く取り入れました。

「没頭すると、失敗しても成功するまでずっとやるんです」と言う早川社長。面白いと感じると、全国各地の作り手のところへ飛んでいく。できなければできる方法を探して、デザインを考え、ものづくりをしてくれるところを探す。

「“こんな生活をしてみたい”という想いから、人の動機は始まります。そう思ってもらえるように、空間をトータルで考える。器が先じゃない。暮らしのイメージの先に器があるんです。そうすることで、はじめて商品も“ものづくり”も生きてくる」

自分の足で現場を回り企画・販売をした経験があるからこそ生まれた考え。その想いから生まれた商品は器に限らず次々と広がり、今もロロのものづくりの土台となっています。


世界へ、そして次世代へ——SALIU(茶流)が紡ぐ物語

1996年に東京、名古屋、土岐にあった営業所を織部ヒルズへと集約すると、陶磁器でのものづくりに一層力を入れることになります。移転当時、陶磁器業界は既に飽和状態でした。新規参入して同じことをしても意味がない。そう感じた早川社長は「目的を持ったものを作る」と心に決めます。

そこからロロではさまざまな商品を開発、商標登録商品を数多く生み出します。

中でも一番の人気が「SALIUブランド」です。海外への販路も見据えて名付けたSALIUデビューは海外の見本市。SALIUブランドの中で、The Chef(ザ・シェフ)、四季香(しきか)などのシリーズを次々と発表するとバイヤーたちの目に留まり、世界中で販売されています。

Nature Ave./株式会社ロロ

SALIUは単なるブランドとしてだけにとどまりませんでした。早川社長は「陶房SALIU」の名で陶磁器製造工場を織部ヒルズ内に開設。

職人の高齢化により減少する窯元、材料の高騰、技術の低下、手間のかかる生産性の悪さ、さまざまな事情で作ることができなくなった昨今の問題を憂いての決断でした。

「作りたいものがあるのに作れない」という声が増える中で、「それならうちができることをやろう。素人の挑戦ですよ」と、担い手のいなくなった窯元の機械を集めて自社生産を始め、生産も手がけています。陶房は見学も可。

訪れる際には事前予約が必要ですが、買い物に立ち寄った際に、ものづくりまで見ることができる、うれしい体験です。

低価格でも感度の高い商品が増える今だからこそ、「ものづくりに真摯に向き合う人や素材にもっと光を当てたい」と早川社長は話します。

それを自社の使命のひとつと考え、地元岐阜県で使える素材を使って、陶磁器と組み合わせたものづくりをしたいと考えています。

「うちは大手じゃないからたくさんは作れない。そのかわりフットワークが軽く、色々なものを手がけることができる。ユニークな会社ですよ。」

Nature Ave./株式会社ロロ

抜群のセレクトアイテムを陶器市ならではの限定価格で

そんなロロのものづくりは今、次の世代にも受け継がれています。本社内での店舗と土岐イオンモール内のNature Ave. (ナテュール アヴニュ)は、早川社長の娘さんが運営。

店内にはSALIUブランドはじめ、店舗オリジナル商品、若手作家作品、インテリア雑やアクセサリーなど、多岐にわたって販売しています。

異なった素材の器やテーブルアイテムたちは、どれも置くだけで食卓の上に調和を生み出せそう。抜群のセレクトで埋め尽くされた心地よい空間に、心ときめくこと間違いなしです。

秋の陶器市では、くじ引きやお祭り限定価格の商品をそろえてお客さまをお迎え予定です。センスの良い、ちょっとめずらしい贈り物などを探している方にはぜひ行っていただきたいと思います。

陶器市のバトンは娘さんに手渡されたものの、「ものづくりの楽しさを誰かと分かち合いたい」と願う早川社長の情熱は消えません。

地場産業を盛り上げたいという使命感を胸に、いまもなお現場に立ち続ける——。さまざまな人とモノをつなぐ、“ものづくりのプロデューサー”という言葉がぴったりです。

陶器市で社長を見かけたら、ぜひお声をかけてみてください。

ここには書ききれないほどの、たくさんの引き出しと情熱を持っている早川社長。きっと器だけでなく、「暮らしそのもの」について語り合いたくなる時間が待っているはずです。


Nature Ave./株式会社ロロ

所在地:岐阜県土岐市泉北山町3丁目7番

Instagram:@saliu_thechef

公式HP:http://www.lolo-inc.co.jp

店舗:@nature_ave

※陶器市期間中の詳細イベント情報は、織部ヒルズ公式Instagram・HPでも随時更新中!