
織部ヒルズの住人たち – 協同組合土岐美濃焼卸センター
織部ヒルズの管理人さん 協同組合土岐美濃焼卸センター
広い敷地に大小さまざまな陶磁器卸商社が軒を連ねる、土岐美濃焼卸商業団地「織部ヒルズ」。
店ごとに異なる個性と世界観を持った器が並び、歩けば歩くほど新しい出会いがある、うつわの街です。この織部ヒルズで春と秋に開催される陶器市には、毎回多くのうつわファンが全国から訪れます。
この“うつわの街”を見守り、支えているのが協同組合土岐美濃焼卸センターの事務局。組合員である各企業と連携し、運営方針を決めたり、イベントや委員会活動を進めたり、時には行政との調整役まで務める、そんな縁の下の力持ちです。
その事務局チームをまとめる、専務理事の佐々木隼人さん。実は歌が驚くほどうまく、ガーデンニング好きな佐々木さん。織部ヒルズの住人たち同様、個性豊かな「管理人さん」なのです。

料理も器も丁寧に楽しむ
学生時代には陸上選手、社会人になってスポーツ関係の仕事に携わっていた佐々木さん。着任から3年目を迎え、企画から運営、広報、資料作成、行政対応まで、幅広い業務を担っています。
料理を作るのが大好きで、飲食店に入るとつい器を手に取り、質感や釉薬を確かめてしまうといいます。昔から好きなのは、ごつごつとした土ものや、深みのある緑釉が美しい織部焼。
「土の手触りや緑の色合いに惹かれるんです」そう柔らかに話す佐々木さん。食や器の話をしていると、「丁寧に食べる」ことをとても大切にしている方で、その姿勢が器選びにも自然と表れるのだと感じます。
実は“作る”ことが大好き
そんな佐々木さんには、もう一つの側面があります。それは作ることが好き、ということ。自宅のガーデニングでは、庭の花や木の配置を考え、自分で庭石を置いていくといいます。季節ごとに変わる景色を想像しながら少しずつ手を加える時間は大切なひととき。さらに、自宅でメダカを飼い、小さなビオトープを作るのも楽しみのひとつです。
食、器、ガーデニング、生き物を育てることにはどこか共通点があります。手をかけた分だけ応えてくれる。自分の手で作り、整え、育てていく喜びは、どこか織部ヒルズの運営スタイルと通じるところがある気がしてなりません。
うつわと音楽に出会う秋のひととき
「ここは、うつわ好きな人が実際にお店を巡れるのが一番の魅力です。企業の数だけ商品の個性や売り方があり、それぞれがまったく違う世界を持っています。作陶家さんが集まる『手わざ工房』もあり、作る現場の空気を感じられるのも面白いですよ」
織部ヒルズの住人たちは、釉薬のようにさまざまな個性に溢れています。それが産地全体の活気につながっていると考えています。
織部ヒルズ推進委員会が主催する秋の陶器市には、もちろん佐々木さんも実行委員の一人として、企画から当日の運営まで全力で取り組みます。
過去に子供たちに大好評だったワークショップや、手びねりろくろ体験などは、今年も企画。

また今年は新たに、「音楽とうつわ」をテーマにした新しい催しも企画されています。
「秋はゆったり買い物を楽しみたい人にぴったり。お客さまとお店の人が、器や作り手のことをじっくり話せる時間を持ってほしいです」と言います。
佐々木さんの思い描く“これから”
「個人の主観満載で構わないので、これから織部ヒルズでやってみたいなと思っている企画はありますか?」と無茶ぶりをしてみました。
すると、「うーん…なにかなぁ」と少し考えた後、「実は・・・メダカ市なんかもしてみたかったりするんですよね…」「謎解きイベントとかも面白いと思うんですよねぇ…」とアイディアは尽きません。
「一か所でいろいろ楽しむことで、“好き”が見つかるような企画がいいと思うんです」と佐々木さん。その言葉の背景には、前職での経験がありました。
スポーツ体験イベントの運営にも関わっていた時に、一か所で、テニスも野球も体操など、いろいろな競技を体験できるイベントを企画したことがあります。
「いろいろある競技の中で、自分の“好き”を見つけていく光景がとてもよかったんです。織部ヒルズには、すでに“いろいろ”な器が集まっている。だから今度は“いろいろ”な人に来てもらえるイベントができるといいなと思います。」
佐々木さんのその想いは、今回の秋の陶器市の企画にも重なります。土岐商吹奏楽団とマスコットキャラクター・志野田茶太郎とのコラボコンサートや、今注目されているサックス侍の出演など、「これまでとはちょっと違う」人たちが織部ヒルズにやってきます。

うつわ以外のテーマで企画を立てることで、まったく新しい人たちに来てもらう。それはきっと、佐々木さんが描く“新しい織部ヒルズ”の姿につながっているのだと思います。
会いに行きたくなる管理人さん
陶器市の本部は組合会館前。イベントや案内の拠点となるこの場所に、佐々木さんは立っています。もし迷ったり、何からまわるか悩んだら、声をかけてみてください。器の見どころからおすすめの店をきっと教えてくれるはずです。(運が良ければ、庭の話やメダカの話、さらには歌声まで聞けるかも・・・しれません)
器を通して人がつながるこの街で、佐々木さんは「織部ヒルズの案内役」。陶器市の一日を、きっと特別な時間にしてくれるでしょう。
協同組合 土岐美濃焼卸センター
住所:岐阜県土岐市泉北山町3-1(織部ヒルズ内)
Instagram:@oribehills
陶器市HP:https://toukiichi.oribe-hills.com/
※陶器市期間中の詳細イベント情報は、織部ヒルズ公式Instagram・HPでも随時更新中!